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徒然なる備忘録

他人に言えなくもないけど特別語る相手もいない趣味についてやりたい放題したいブログ

『ラムネ』 総評

ゲーム(R18)

 七海ルート以外に他三人のシナリオも見てきたので、ここで『ラムネ』全体としての感想を書いて締めたいと思います。

 

<七海>

 これについては、先日記事で取り上げたように『非の打ち所のない幼馴染ゲー』として後世に語り継がれるであろう素晴らしい出来でした。本編全体で見ても、やはり七海ルートは頭一つ抜けている印象ですね。本当に良かった。

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酔い止めの薬をカルピスで飲ませる七海先生。流石としか言いようがない。 

<鈴夏>

 他のルートでは「元気な妹キャラ」で通っていた鈴夏ですが、メインルートでは幼少期のちょっとしたいざこざの為に兄との距離が離れているばかりか、性格まで180度変わってしまいます。ええ、流石に困惑しましたね。個人的には元気な妹キャラの方が好きです。

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妹がこんなこと言ってくれるのは二次元だけ!

 

内容も悪くないと思います。全体的にシリアス成分が多めというか、ちょっと暗めな印象ですが、二人の微妙な距離感が上手く描かれていたと思います。

<ひかり>

 青山ゆかりさんの演技は素晴らしいなぁ、と改めて実感させられました。9割ツンツンなひかりが時々見せるかわいらしい仕草が、ゆかりさんの声によってより一層引き立てられています。思わず画面の前で「うっ」と悶てしまいます。

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超常現象はとりあえず量子かプラズマの所為と言っておけば良いような風潮はあります。

 

 ひかりルートの特徴は、主人公、七海、ひかりの三人が仲の良い幼馴染として描かれる辺りですかね。七海ルートでは、ひかりと七海は顔見知り程度の関係だったので、色々と新鮮で良かったです。

 欠点と言えば、「恋愛」という要素が蛇足というか、テーマ的に必要だったのか?とちょっと疑問に思ってしまいます。まぁそこを否定してしまうと本当に主人公がカラスになるようなゲームになってしまう訳ですが。Hシーンの挿入も淡々としていて、後半の盛り上がりがイマイチという印象でした。

<多恵>

 マーベラス。いや、本当に素晴らしかったです。自分はこの手のゲームは気になったヒロインから順に攻略していくタイプですが、最後にこんなダークホースが残されていようとは想像してませんでした。「消化試合」なんて思ってごめんなさい、本当に。

 ライターが溢していたように、この多恵ルートは他三ルートとは一風変わっています。というのも、他三人は幼少期を経ての青年期という、いわゆる「みずいろシステム」(?)に沿って話が進む訳ですが、この多恵ルートに限ってそれがなく、いわゆる、普通の学園物っぽいイメージです。一応は幼少期に顔合わせしますが、本当に一瞬です。

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ジャージ先輩は伊達ではありません。

 石和多恵というヒロインが本当に魅力的で、ちょっと人間くさいところも含めて、七海一人に絞っていたユーザーの心を揺らしにかかります。

 また、シナリオの出来も良かったです。普段の何気ない会話の中にも伏線が貼られており、後に多恵について色々と知る時、「ああ、そういうことだったのか」と納得のいく構成です。一本のシナリオとして非常に良くまとめられていると思います。

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多恵先輩は良CGが多くて、これも私的ラムネで五本指に入るお気に入りです。ベタと言われてしまえばそれまでですが、だが、このベタさが良い!多恵先輩の表情、微笑ましい顔のタコさんウィンナー、チラッと見える谷間、これら全てが我々を悶えさせるための緻密な計算の上に成り立っているに違いない!

どうでもいいけど、このタイプのお洋服ってエロゲではよく見るんだけど、実際にあるんですかね?かなり目立つというか、男としてはどうしてもある部分に見入ってしまうと思うんですが、どうなんでしょう。

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これも例の五本指に入るやつです。多恵先輩の恍惚とした表情と、それを包み込むような主人公の構図が素晴らしい。ちなみに、多恵先輩が初めて本心をさらけ出してくれた記念すべき場面でもあります。

これまたどうでもいいけど、主人公がカラスになりそうに見えるのは私だけでしょうか。長袖にして銀髪にしたらまんまアレだと思うんですよね。ほんとどうでもいいけど。

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これも例の五本指です。この絶妙なくびれ具合とか、スカートの上から浮かんで見える小柄なおしりとか、この何かを期待するような表情とか、行為に及ぶ前の濃い雰囲気が存分に滲み出ています。

 

 本編は、多恵が大人になるお話です。幼少期、お姉ちゃんとなった日から多恵は変わってしまいます。それは一見、大人になったようにも見えましたが、それは見かけだけの話。中身はずっと子供のままで止まっていたのです。「誰かに褒められたい」その一心で行動します。奉仕活動をするのも、主人公の恋人になるのも、全ては「褒められたかった」から。そんな多恵、そして自分の本当の気持ちに気がついた主人公は告白をし、多恵に「大人になれ」と言います。

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 自分を見つめ直すことにした多恵。その為にも、このまま主人公に甘えていてはいけないと言い、ただの口約束であった恋人関係を断ってほしい、と主人公に「お願い」します。主人公は「多恵を好きだと言う気持ちさえ見失わなければ問題ない」と明石先輩のような名言を心の中で呟く(正確には違かった気がする)。しかし、言葉ではなんと言ってよいか分からず、ポケットに入っていたあの飴玉を渡す。この飴玉は恋人以前の二人の関係の象徴でもあるので、「キスする関係ではなく飴玉を渡すような関係に戻る」という意味を孕んだ行動であると深読みしました。

 多恵はこれでやっと、「お姉ちゃんでもなく、自治会長でもなく、友坂くんの恋人でもない…ただの石和多恵」になることができた。でも、「どうして私は泣いているんだろう。どうしてこんなに胸が切ないのだろう」。そして、自分の気持ちに気がつく。

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この怒涛の盛り上がりが、演出も含めて本当に素晴らしい。涙なしでは見られないラムネ屈指の名シーンと言えるでしょう。

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 いや、本当に良くまとめられていて非の打ち所のないシナリオでした。一見地味な多恵先輩ですが、シナリオ次第でこんなに化けるんですね。ライターの技量が感じられた一本でした。

 

 以上を考慮しまして順位のようなものを付けてみますと、

 

七海>多恵>・・・・・・>鈴夏>ひかり

 

 やはり、七海と多恵ルートは頭一つ抜けている印象です。勿論、他二人のシナリオも決して悪くはないのですが、「良くも悪くも良作止まり」という感じでした。

 七海、多恵ルートは甲乙つけ難いくらいどちらも良かったですが、やはり「ラムネっぽさ」を考慮に入れると、ポンコツ七海ルートに一票入れざる負えないような気がします。でも、多恵先輩のシナリオも同じかそれ以上に素晴らしいので、消化試合なんて思わずプレイしてみることをお勧めします。

 

 最後に、なんとか五本指とか言ってたやつの残り二本を晒して終わりたいと思います。

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「ななみすぺしゃる」を食す二人

このゲームを象徴するようなCGですね。僅かに見える「ななみすぺしゃる」の文字や、楽しそうな七海の表情が良いです。見えそうで見えない感じも非常にグッドです。

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バイクでGO!

ナナミーのバイクのCGはどれもお気に入りなのですが、中でも一番七海の顔がアップのものを選びました。ちょっと遠慮がちに、でも離れぬよう、ぎゅっと掴んでる感じが良いです。背景の海も良くマッチしてますよね。

 

 最後になりますが、このラムネという作品は非常によく出来た作品です。特別派手な描写もなく、一見地味な日常パートが多いので、なかなか目立たず、時間の流れと共に埋もれていってしまう運命は避けられないのかもしれません。しかし、ただ夏っぽいだけではない独特な世界観と、なんとも言えぬ心地よい読後感、ねこねこソフト独自の「ぽんこつ」というドジっ娘とはまた違った属性などは、他のゲームでは見られない、ラムネ特有のものであります。量産的な田舎作品と舐めてかかっては痛い目にあいます。

 都会に憧れて上京した青年も、やがては郷愁の念に駆られ、田舎が恋しくなるんです。ラムネというのは正にこの「田舎」のような作品で、世の中の様々な魑魅魍魎(エロゲ)に揉まれ、疲れきった我々エロゲーマーの為の止まり木のような、そんな心休まる場所、また帰ってきたい場所、そんな作品ではないでしょうか。

 目立たずとも、無くなってはいけない。常に側にあってほしい。そんなラムネが後世まで途絶えず、細々とでも良いから伝わっていってほしい。そんな願いと、ラムネ2への期待を込めてラムネの感想としたいと思います。それでは。